風の便り episodo.37 


中山道 文京区 昌平坂
公衆便所
 東京の文京区には公衆便所がいくつ有るかご存じであろうか?。後楽園橋や湯島天神境内、護国寺前など25カ所であり、その中の一つが聖堂際公衆便所である。これらは全て条例で定められており、中央区などは70カ所もある。人口密度という統計はあるが、公衆便所密度を出したら、全国で何処が多く、何処が少ないか分かり、その自治体の歴史まで分かるようで面白い。
 中山道を歩くウォーカー達の関心事に、必ず排泄の事が有ることは、サイトを見ていても分からない。そもそも昔は、各自の家の便所全てが公衆便所であった。旅人が困ればどの家でも提供してくれたのは、排泄物が資源だったからではないだろうか。私の住む中原街道にも、肥汲み坂と呼ばれる難所があって、戦前までは、世田谷区の栄養状態の良い肥が作物には一番と、大八車に野菜を積んで売りに行き、帰りは栄養価満点の肥を入手して変えるという、循環型社会が有った。
 現代の旅人は車や列車航空機で移動し、その中には排泄もシステムとして組み込まれている。しかし街道ウォーカーにはそのシステムの恩恵はなく、頼れるのはコンビニであり、食事処であり自治体なのである。
 この聖堂際公衆便所は、中山道の旅を暗示するかのように、昌平坂の途中に忽然と現れ、これが最後だぞと我々に教訓を与えたと、旅を終えて感じた。

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