風の便り episodo.34 


東海道 坂下にて
木造校舎
 別に木造校舎ではないけど、レンガの校舎や鉄筋コンクリートの校舎で
学んで来た私も、もしかしたら小学校1年生の時だけ、この坂下の校舎の
ような校舎に入学し、桜の木の下で記念写真を撮ったかもしれない。
 中山道にも随分木造校舎が有った。しかしどれも現代の木造校舎、きっ
と板の間の長い廊下を、皆で並んで雑巾掛けなんてことも無いのだろう。
しかし、やっぱり木造校舎はいい。暖かみがあるの一言で終わらせるのは
無理があるほど、いい。
 昔、さだまさしの歌「吾亦紅」の舞台となった鳥取県大山の北麓にある
大山小分校へ行ったことがある。まさしく校庭の片隅に吾亦紅が咲く小さ
な分校であった。何故彼が、この分校に魅せられたのか、夕暮れ時の誰
もいない分校から、日本海を見てちょっとだけ分かったような気がした。
八月のラプソディで、飴のように曲がったジャングルジムが、瀬戸内少年
野球団の校舎が、たった6年間しか過ごしていない小学校は、月日と共に
膨らんでゆく、決して木造校舎で学んでいない我々にも、もしかしたらここ
で小学生時代を過ごしたんだ、と白昼夢に誘ってくれる。どうしてそんな
魔力がこの建物には潜んでいるのだろう。きっと彼もそう感じた・・・。

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