風の便り episodo.12 


あわ雪

 岡崎市内に「備前屋」という老舗がある。社歴に天明二年創業,明治元年,名菓「あわ雪」発売とある。卵を使いほのかな甘さと,口の中で,はじけとろける食感が絶妙である。街道の旅の楽しみのひとつに,老舗の菓子をいただくことがある。平塚の「ちょんまげ最中」江尻の「追分羊羹」・府中の「安倍川餅」・四日市笹井屋の「なが餅」・草津の「姥が餅」・走井の「名水餅」などなど,紹介できなかったものまで入れると,かなりの数のお菓子がある。
 歩いての旅なので,おみやげにというのではなく,昔の旅人のようにあくまで,その場所でいただくことにこだわってきた。何処の店もその場でいただくというと,必ずお茶を出してくれる。江戸時代スウェーデン人のツンベルブが走井で受けたもてなしと同じ精神が,現代の菓子店にも脈々と流れているように感じた。

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